活動記録


 青木尚哉(ダンサー/振付家)は、自身が所有する「身体論」及び「身体技術」の継承を目的に、身体に関する知識と日常的なトレーニングを、継続的にプロジェクトメンバーに共有しています。メンバーは各々の身体にその「身体論」及び「身体技術」を反映させ、その上で現代における身体表現を考察し、体現者としての活動を積んでいます。

 具体的には、トレーニング、解剖学、座学、クリエーションに加えて専属ボディートレーナーからの意見を取り入れ、多角的で計画性のあるカリキュラムを毎週4回の活動[年間170回]で実施しています。

また、定期的に、普段私たちが取り組んでいる活動を「見る・聞く・体験する」の3つの角度から参加してもらうオープンスタジオや、レクチャー付きパフォーマンスなど、新しい身体の鑑賞スタイルを模索しつつ、プロジェクト内で得た研究成果を外向けに広く紹介しています。

 2017年、2018年度には城崎国際アートセンターでの滞在制作を行い、集中した環境や期間の中での作品制作と公開稽古、他、地域住民との交流にも取り組んでいます。 

 現在、美術,音楽など他ジャンルと舞踊の関係を模索したコラボレーション作品の制作に興味を持ち、空間とダンスの設計を考えた非劇場空間(美術館や公園、広場etc)でのインスタレーション作品のクリエーションに取り掛かっています。 

私たちは、人と人とのコミュニケーションが言葉や言語だけでなく、「全身体」を持って行われていることを証明し、共通認識から生まれるグループ固有の身体論の展開を目指しています。


 プロジェクトの一環として、6/20 ~ 7/2の期間で城崎国際アートセンター (兵庫県 豊岡市)にて滞在制作を行いました。2018年度は3年計画の2年目として、日常生活を離れ、より密度の濃い創作環境と共同生活によるメンバー間の意識共有を目的に滞在制作を展開しました。レジデンス終盤には、豊岡市立美術館 –伊藤清永記念館– にて開催されていた豊岡市但東町出身の画家・稲葉猛の作品展「CANETTE(カネット)」の会場を舞台に、作品や空間から着想を得たダンス・パフォーマンスを行いました。


「青木尚哉グループワーク プロジェクト2018」 パフォーマンス@豊岡市立美術館–伊藤清永記念館–

 ◼︎日時:6月30日(土)10:30~16:00  (時間内に2回のパフォーマンス・コアタイムあり)

     ※入退場自由

 

 ◼︎演出 / 構成:青木尚哉

 ◼︎音楽 / ドラマトゥルグ:児玉北斗

 ◼︎出演:宮川絵理 近土歩 敷地理 村川菜乃 (青木尚哉グループワークプロジェクト2018)

青木尚哉

      

 ◼︎会場:豊岡市立美術館–伊藤清永記念館–

    (兵庫県豊岡市出石町内町98)

 

 ◼︎料金:パフォーマンス観覧者は美術館の入館料無料

[同時開催 企画展] CANETTE(カネット)-稲葉猛作品展-

■会期:4月28日(土)~7月1日(日)水曜休館

■時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)

■会場:豊岡市立美術館-伊藤清永美術館-

■料金:一般600円/大高生400円/小中生200円 



【青木尚哉による活動後記より】

 城崎国際アートセンター(以下:KIAC)での13日間のレジデンスでは、私たちが日頃から行っているルーティンワーク(メソッド)の強化やクリエーションに加えて、ゲスト講師として参加した児玉北斗氏(他、音楽、ドラマトゥルグも担当 )によるインプロビゼーションや、リーディング等のワークは、ダンサーたちの思考にもに大きな影響を与えた。

 その濃密な時間を経て、レジデンスの終盤に行われた美術館でのパフォーマンスでは、画家・稲葉猛さんの企画展「CANETTE(カネット)」とのコラボレーションという形式となったが、これがレジデンスの成果に相乗効果をもたらした。というのも、稲葉氏の作品は、空き缶を素材として使用するとても根気のいる作業のもとに生まれるものだからだ。空き缶という訳ではないが、グループワークをスタートして1年間半、共通のトレーニングを日々行い、根気良く積み重ねてきた身体から「どのようなダンスがあぶり出てくるのか?」という我々の命題と強いリンクを感じた。ゆえに舞踊をそのものを浮き彫りにする目的で、作品として「集約させないパフォーマンス」を試み、いわば身体の展示という鑑賞スタイルを目指した。ダンサーは、2時間半のプログラムを2周し、計5時間という長い時間を踊りきり、強度のある身体と精神の両面を強いられる体験を得ることができた。またこの試みは、美術館側にも来館者の増加という大きなメリットをもたす結果となった。美術館におけるパフォーマンスは、今後のグループワークの活動として是非とも継続していきたい活動だ。